
「介護保険料って、何のお金なの?」
そう聞かれときに、むずかしい言葉を使わずに答えるなら私はこう言います。
介護保険料は、将来だれかが介護で困ったときに、みんなで助け合うために少しずつ出し合うお金です。
たとえば、クラスに「ころんでけがをした子がいたら、みんなで助け合おうね」というルールがあるとします。でも、助けるには、ばんそうこうや保健室の道具、お世話をする人が必要です。
そのために、前もってみんなで少しずつ準備しておく。
介護保険料も、イメージとしてはそれに近いです。
まず結論:介護保険料は「今の自分のため」でもあり「家族のため」でもある
介護保険料というと、「年を取った人だけの話でしょ」と思う人もいます。
でも、実際はそうではありません。
介護が必要になるのは、ある日突然です。転んで骨折することもあります、
病気で体が思うように動かなくなることもあります。
認知症で一人暮らしがむずかしくなることもあります。
そんなとき、家族だけで全部を抱えるのは本当に大変です。
だから日本では、家族だけに任せるのではなく、社会全体で支える仕組みとして介護保険制度があります。
私は、この考え方自体はとても大事だと思っています。
昔は「介護は家族がするもの」と考えられがちでした。
でもそれでは、介護する人が仕事をやめたり、心も体も限界になったりしやすい。
だからこそ、**介護保険料は”取られるお金”というより、”家族がつぶれないための土台”**として見た方が、本質がわかりやすいと私は思います。
介護保険ってそもそも何?

介護保険は、介護が必要になった人が
・ヘルパーさんに来てもらう
・デイサービスを使う
・福祉用具を借りる
・施設に入る
といった介護サービスを使いやすくするための制度です。
ただし、サービスが無料になるわけではありません。
使ったときは、原則として利用者本人も1~3割を負担し、残りは介護保険から出ます。
ここはかなり大事です。
介護保険料と介護サービスを使った時の自己負担金は別物です。
この2つがごちゃごちゃになると、一気にわかりにくくなります。
たとえばイメージで言うと
・介護保険料=毎月みんなで出し合う会費
・自己負担金=実際にサービスを使ったときに払う利用料
です。
誰が介護保険料をはらうの?

介護保険では、加入する人が2つに分かれています。
1.65歳以上の人
これは第1号被保険者と呼ばれています。
65歳以上の人は、原因を問わず、要介護・要支援の認定を受ければサービスを利用できます。保険料は市区町村が徴収し、原則として年金から天引きされます。
2.40歳~64歳で医療保険に入っている人
これは第2号被保険者です。
40~64歳の人は、加齢に伴う病気などの特定疾病が原因で介護が必要になった場合に、介護サービスの対象になります。保険料は健康保険料や国民健康保険料と一体で徴収されます。健康保険加入者では原則として事業主と被保険者が折半します。
なぜ40歳から払うの?

ここは多くの人が引っかかるところです。
「まだ介護なんて先の話なのに、なんで40歳から?」
そう思うのは自然です。
でも制度としては、40歳ごろからは親の介護が現実味を帯びてきた李、自分自身も加齢に伴う病気のリスクが少しずつ出てきたりする年代として位置づけられています。
また、介護保険は今困っている高齢者を、今の世代全体で支える仕組みなので、「使う人だけが払う」のではなく、「支える側も一緒に出す」考え方です。
私はここに、制度のやさしさと厳しさの両方があると思っています。
やさしいのは、「介護はその家だけの問題じゃない」と社会が認めていること。
厳しいのは、まだ自分に必要性を感じにくい人にも負担があること。
だからこを、この制度は分かりやすく説明されるべきだと思います。
何に使われているのか分からないお金ほど、人は不満を感じやすいからです。
介護保険料はいくらぐらい払うの?

65歳以上の人の保険料
65歳以上の第1号被保険者の保険料は、全国一律ではありません。
市区町村ごとに決まり、本人の所得段階によっても変わります。
厚生労働省によると、第9期介護保険事業計画期間(令和6~8年度)の全国平均の基準額(月額)は6,225円です。これは全国加重平均であり、実際の額は自治体ごとに違います。
つまり、「介護保険料はいくら?」と聞かれた時に正しい答えは、”住んでいる市区町村と、その人の所得によって違う”です。
40~64歳の人の保険料
40~64歳の第2号被保険者の介護保険料は、加入している医療保険によって決まり方が違います。会社員なら健康保険料と一緒に、国民健康保険の人なら国保と一緒に納めます。健康保険加入者については原則として事業主と折半です。
こちらは65歳以上のように「市区町村が個人ごとに段階を決める」という形とは少し違い、加入先の利用保険の計算方法に沿って決まると考えるとわかりやすいです。
65歳以上の介護保険料はどうやって決まるの?

子供向けにすごく簡単に言うと、
お金に余裕がある人は少し多め、少ない人は軽くなるように決まる
という仕組みです。
65歳以上の介護保険料は、
・その市区町村で介護にどれくらいお金が必要か
・65歳以上の人が何人いるか
・その地域の高齢化の進み具合
・所得の高い人、低い人の割合
などをもとに決められています。
しかも、介護保険料は所得段階別です>
つまり、同じ市に住んでいても、全員が同じ金額ではありません。低所得者には軽減策もあります。
これは私は大事な考え方だと思います。
なぜなら、介護保険は「みんな同じように出す」より、負担できる力に合わせて支える方が現実的だからです。
介護保険料は何に使われているの?
介護保険料あh、介護サービスにかかるお金の一部になります。
介護保険制度では、介護給付費の財源のうち、約半分を公費、残り約半分を保険料でまかなう仕組みです。保険料部分は第1号被保険者と第2号被保険者で分担されます。
かなりざっくり言えば
・国や都道府県、市区町村のお金
・みんなが払う介護保険料
この2つを合わせて、介護保険料は「どこかに消えているお金」ではありません
実際には、
・訪問介護
・デイサービス
・ショートステイ
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・福祉用具貸与
などの費用を支える原資になっています。
どうして「高い」と言われるの?
介護保険料が高いと言われる理由は、主に3つあります。
1.目に見えにくいから
自分が今すぐ使っていないと、「何のために払っているの?」と感じやすいです。
2.高齢化で必要なお金が増えやすいから
高齢者が増えれば、介護サービスを使う人も増えやすくなります。
すると制度を支えるためのお金も大きくなります。
第1号被保険料の全国平均基準額も、制度開始当初より長い目で見て上昇してきています。第9期では月額6,225円です。
3.他の社会保険料と一緒に重く感じやすいから
健康保険料、年金、税金などと一緒に見ると、家計への負担感は大きくなります。
介護保険料だけ単独で見たとき以上に、「また引かれてる」と感じやすいです。
私は、介護保険料が「高い」と感じられるのは、単に額の問題だけではないと思っています。
**”払っている意味が見えにくいこと”**が、不満を大きくしている面もあるはずです。
逆に言えば、「このお金があるから、家族だけで抱え込まなくてすむ」と実感できれば、見え方は少し変わります。
介護保険料を払っているのに、なぜ使う時もお金がかかるの?
これはよくある疑問です。
答えは、全部を無料にすると、制度のお金が足りなくなりやすいからです。
介護サービスには、人件費も設備費も移動費もかかります。
そこで、使う人にも一部を負担してもらい、残りを保険で支える形になっています。原則として自己負担は1~3割です。
たとえば、みんなで会費をだしているスポーツクラブでも、実際に特別な教室に参加すると追加料金がかかることがありますよね。それに近いです。
私はここも、制度としては現実的だと思います。ただ、利用者からすると、「払っているのに、まだ払うの?」という気持ちになるのは当然です。
だからこそ、説明の丁寧さが欠かせないと思います。
年金から天引きってどういうこと?
65歳以上の人の介護保険料は、原則として年金からの天引きで納めます。
つまり、自分で毎月コンビニへ払いに行くのではなく、年金が振り込まれる前にあらかじめ差し引かれる形です。
この仕組みには、
・払い忘れを防ぎやすい
・集める事務の手間を減らせる
というメリットがあります。
でも一方で、受け取る側からすると、「年金が減った」という感覚になりやすいです。
ここは制度上は合理的でも、気持ちの面では納得しにくい部分かもしれません。
介護保険料を払わないとどうなるの?
介護保険料は、公的な保険料です。
はらわないままでいると、滞納扱いになり、将来サービスを使うときに給付が制限されることがあります。介護保険は「入りたい人だけ入る任意の保険」ではなく、条件にあてはまる人は加入する仕組みです。
ここは少し厳しく感じるかもしれませんが、みんなで支える制度だからこそ、全体で成り立たせる必要があります。
子供向けに一言でいうと?
介護保険料を子どもに説明するなら、私はこう言います。
「おじいちゃんやおばあちゃん、病気で困った人が安心して助けてもらえるように、みんなで少しずつ出し合うお金だよ」
さらに一歩進めるなら、
「今は使わなくても、将来の自分や家族を助けるためのお金でもあるんだよ」
と伝えるとかなりわかりやすいと思います。
私はこう考える
ここからは、制度の説明ではなく、私の考えです。
私は、介護保険料には不満が出るのも当然だと思っています。
生活が楽ではない人にとっては、毎月引かれるお金は本当に重いからです。
でもそれでも、介護保険そのものは必要だと思います。
理由はシンプルで、介護を家族だけで背負う時代に戻るほうが、もっと苦しいと感じるからです。
たとえば、
・仕事を辞める
・介護うつになる
・家族関係が壊れる
・老々介護になる
こうした問題は、制度が弱くなるほど深刻になりやすいです。
だから私は、「介護保険料はなくした方がいい」ではなく「何に使われ、どう決まり、どうするば納得しやすい制度になるのかを、もっと見える化すべき」だと思っています。
払う側が苦しいなら、そこに耳をふさぐのではなく、低所得者への配慮、説明のわかりやすさ、介護現場の無駄の見直し、予防の強化まで含めて考えていくべきです。
まとめ
介護保険料とは、ひと言でいえば、介護が必要になったときに社会全体で支え合うためのお金です。
ポイントを整理すると、
・40歳以上になると介護保険に関わる
・65歳以上は第1号被保険者
・40~64歳で医療保険加入者は第2号被保険者
・65歳以上の保険料は市区町村や所得で変わる
・第9期計画期間の全国平均基準額は月額6,225円
・サービスを使うときは原則1~3割の自己負担もある
・介護保険料は、介護を家族だけで抱え込まないための支えでもある
介護保険料は、ただの出費ではありません。味方を変えると、「困ったときに、ひとりにしないためのお金」でもあります。
私は、制度に課題はあっても、この考え方自体はとても大事だと思います。

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