「つらいとき、誰かに話を聞いてもらうだけで、少し楽になる」
そんな経験、あなたにもありませんか?
たとえば、ケガをしたとき、失恋したとき、仕事でミスをしたとき。
「痛い」「つらい」と言った瞬間、誰かが「それは大変だったね」と共感してくれたら、
ふしぎと心も体も少し軽くなる。
それって、気のせいではありません。実は、科学的な裏付けがあるんです。

共感が“痛み”をやわらげる理由
人は他者から共感されると、脳の中で「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。
これは「愛情ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれ、安心感・信頼感・つながりを感じたときに多く出る物質です。
このオキシトシンが増えると、自律神経のバランスが整い、
ストレスホルモン(コルチゾールなど)の分泌が抑えられます。
すると、体の緊張がやわらぎ、結果として「痛みの感じ方」自体が弱くなるのです。
実際、心理学や神経科学の研究でも
「共感的な対応を受けた人は、痛みの耐性が高くなる」
という結果が多く報告されています。
「痛み」って、実は“感情”と深くつながっている
痛みというのは、単に“身体の刺激”だけで決まるものではありません。
脳が「これは痛い」「これは怖い」と認識することで、
その体験はより強く・鋭くなっていくのです。
だからこそ、
「この痛みをわかってくれる人がいる」
「受け止めてくれる人がいる」
という安心感があるだけで、
脳は痛みに対する反応をゆるめるように指令を出すのです。
「共感」は薬以上の効果をもつこともある
実は、ある研究では「手術後の痛み」に関しても、
看護師の共感的な態度が患者の回復に影響を与えていたという報告があります。
また、子どもが転んで泣いたとき、
「大丈夫?」と声をかけられると安心して泣き止むのも、
この「共感→安心→痛みの軽減」というメカニズムが働いているのです。
では、自分がつらいときはどうしたらいい?
答えはシンプルです。
- 誰かに“我慢せず”話すこと。
- 「こんなこと話しても…」と遠慮しないこと。
- できれば、わかってくれそうな人に、正直な気持ちを伝えること。
話すことで、感情が整理されるだけでなく、
「ひとりじゃない」という実感が、心と体を癒してくれます。
最後に:共感すること、されることが“つながり”をつくる
私たちは、ひとりでは生きていけません。
特に痛みや苦しみの中では、「つながり」の力がとても大切です。
もしあなたの周りに、つらそうな人がいたら、
完璧なアドバイスじゃなくてもいい。
「それは大変だったね」と、一言共感してあげてください。
それだけで、その人の“痛み”は、ほんの少し軽くなるかもしれません。
🧠豆知識:
「共感されると脳内に“オキシトシン”というホルモンが分泌されます。
これは“安心・つながり”の感覚を高め、
痛みを和らげる効果があることがわかっています。」
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